わたしの生まれた村







自分の常識が違うところにいく




そうすると

だんだんとわかってくる




常識って場所でかわる







わたしの生まれた村では
50年住まないと

よそもの


と呼ばれた




わたしが物心ついたとき
うちは35年位だったので



あんたの家はよそものやからな





そういう人もいて



何をいってるのだろう


子供心ながらに思う





土地って誰のものかなんて
人間が所詮決めたことであり




それを小さな私に
わざわざいうなんて


くだらない


そう思う可愛くない子供だった




村は街灯も少なくて
信号も自販機も

横断歩道一つないところで




蛍がきれいで

幻想的だった



結婚式も
お葬式も


村でやる



草刈りも総出でやる




それが私の当たり前で
都会にきて驚く



隣の部屋の人の名前すら知らない




村はややこしかった

水利権



これはもめる


水のない時ほど




あさましい


子供ながらにそう思った


大人気なく喧嘩して



可愛くない子供だった






祖父が亡くなって
新しく立てた公民館をつかい

式をしたのだが


余所者のお前らが最初に使いやがっ





死ぬ順番を誰が決められるというのか


黙って聞いていた





父の初七日だったか
法要が終わって

我が家に村の人が集まって
こういわれた





村のものを信用してないんですか


外部の葬式の業者を初めて使ったからだ


村では人がなくなると
一家から一人女が二日手伝いに出る





母では対応できなかったので

私が正座して頭を下げた




申し訳ございませんでした

なにぶん突然のことで
こちらもどうしていいかわからず

無下にするつもりはなかったんですが

でもそう思わせてしまったのなら
それはこちらが悪いと思ってます






驚いたのは家を売る時だった


こう言われた



余所者をいれてもらっては困る




…は?(・Д・)



家を売るということは
家を買うよその人が入ってくる



何を言ってるんだろう

何故家を売るのに
村の許可がいるのか


でも出て行く立場だし
きちんとそうした




父の知り合いが家を買うことで
折り合いがついた





うちは村でも一番奥の家で
小学校いくにも50分かかった




帰り道
これ持って帰り


いちごやスイカくれる人もいた



今なら村が育ててくれたのもわかってる



でも


帰りたいとは一度も思わない